漢方内科

そもそも漢方薬を使い始めたきっかけは、虎の門病院の外科に所属していた時でした。

脳神経内科のドクタ-から依頼された、非常に頑固な便秘の患者さんがいて、そのために退院を勧めることが難しいので、やむを得なく大腸を短縮するOpeをして欲しいとのこと。その患者さんを直腸診してみると、コロコロした兎糞状の便が直腸とおそらくS状結腸にも詰まっていて、下剤でその周囲からドロドロになった便汁が常に流れている状態でした。当時の下部消化器外科の上級医師に、手術をするのは忍びないので、試しに漢方を使ってみるからとOpe予定は延期してもらいました。

ただ入院中でもあり、ご家族の方に許可をとり、当時は院内でもまだ漢方薬は採用されていない薬剤でしたので、メーカーさんにお願いして治験用としていただき、大黄甘草湯と潤腸湯を使い分け、手術が回避できました。

それをきっかけにして、当時虎の門病院の院内薬局には置いていなかったし、使われてなかった漢方薬を採用してもらえました。

ちなみに、便秘薬だけではなく、葛根湯、五苓散、十全大補湯などと、同じころに肝臓科の熊田先生も要望されていた小柴胡湯も採用となり、虎の門病院の医師が漢方薬を処方するというきっかけができたケースでした。